Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

昨夜のアイーダ

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公演プログラム(¥2.000!)

先月まで観に行く予定はなかったが、すでに売り切れていた安めのチケット(C席)が運良く(?)手に入ったので雨の降りしきる中、渋谷の道玄坂劇場、いや、オーチャードホールへペーター・コンヴィチュニー演出の《アイーダ》を観に行った。
予想通り、馬も象も出てこなかった(ぬいぐるみの象は出てきた)が、アレはアレ、コレはコレ、予想以上に面白かったよ。いや、正確にいうと、まさか泣けるとは思わなかった。

まず、タイトルロールのアイーダを演じたキャサリン・ネーグルスタッドだが、日本では今回がオペラ・デビューとのことで「知らない」ソプラノと思いきや、昨年何度も見ていたDVDの《アルチーナ》でタイトルロールを演じているソプラノだった。見た目はアルチーナとはまったく違うので気づかなかったが特徴的な声(発声)には聞き覚えがあった。ついでに見た目でいうと全然アイーダのイメージではない(たぶん演出のせい)のだが、歌はアイーダ以外の何者でもなく、すばらしかった。『オーパンヴェルト』の「年間最優秀女声歌手」に選ばれるのも納得できる。今年1月にベルリン州立オペラに《仮面舞踏会》のアメーリアでデビューを飾ったとあるが、《椿姫》や《ノルマ》のタイトルロールも是非見たい/聞きたいと思った。

演出については、意外なほど過激ではなく、フツーの歌劇(音楽劇)だった。ひょっとして全編、喜劇仕立てなのかと思ったが、そんなことはない。そのせいもあるのか、カーテンコールで登場したコンヴィチュニーは盛んにブーイングを受けていた。まあ、これはお約束か。
《アイーダ》というと本物の馬や象が登場する凱旋シーンはいうまでもなく、先月の新国のゼッフィレッリ演出によるそれに代表される豪華絢爛な舞台ばかり注目されるが、本来は男女の三角関係に基づくメロドラマでもあるわけで、音楽的にも所々《椿姫》を連想させる箇所があったりするので余計、泣けてくるのかもしれない。
しかし、けっして豪華絢爛ではないけれど、昨夜の舞台美術もわるくはなかった(アカ抜けていた)。先月のホモキ演出の《ばらの騎士》の舞台に似ていなくもないが…初めどこで歌っているのかと思っていた合唱団が、後ろのパネルが左右に開いて現れたときは少なからず感動した。

ちなみにオペラ界では一番エライのはドイツでは演出家、オーストリアでは指揮者、イタリアでは歌手…なのだそうだが、いろんな意味でコンヴィチュニーほど注目される演出家はいないかもしれない。今回の公演も《アイーダ》がまるでヴェルディではなくコンヴィチュニーの作品であるかのような扱い方だからね。
また、11日(金)にドイツ文化センター(赤坂)で行われた講演会の際の発言の概要が記載されているブログがあるが、非常に興味深いというか何というか…
さらに、昨夜も意外な有名人を何人か見かけたが、このご両人はさすがに大いに目立っていた。
by ka2ka55 | 2008-04-18 00:55 | 音楽