シュリーマン
日本版Wikiにはその点について比較的詳しく書かれている。
シュリーマンは確かに金持ちになったが、これといった夢があったわけではなかった。しかし、教養ある妻に対しコンプレックスがあったことから、トロイア遺跡発掘が子供のころからの夢であったと語ってしまい、発掘に挑む羽目になってしまったというのが現在の通説である。彼が事業をたたんだのは、美貌と教養を併せ持つ30歳も年下の娘と結婚してから、数年後のことである。大出版社がこのような嘘八百を知りながら、『古代への情熱』を出版し続けるのはケシカランという意見もあるようだが、それはともかく、シュリーマンの嘘八百を鵜呑みにして、それを美談として世間に広めた罪は大きいのではないか。
実はつい最近も某大学教授がTVで虚像のシュリーマンを引き合いに出して、無目的に金儲けに走る現代の風潮を批判していたが、たぶん、その大学教授もシュリーマンの実像を知らなかったのだろう。無知とは罪なことだ(自戒をこめて)。
もっとも実像のほうが人間味があってよい、という見方もあるかもしれない。それはまた別のハナシ。