16年後の自画像
石灰パネル(lime panel)に油彩、67.1×48.7 cm、独ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク所蔵
デューラーには少なからず思い出がある。たとえば、この自画像はミュンヘンで実物を見ているし、なんといっても四半世紀以上前にニュルンベルクの生家を訪れたこともある。そういえば、学生時代にデューラーに関するレポートをドイツ語で書かされたこともある。とはいえ、正直なところ、その作品にそれほど関心があるというわけでもない。どこかとっつきにくいというか、近寄りがたい何かを感じてしまう。それがこの自画像にも感じられるような気がする。ちなみにこの自画像の特徴は真正面から描かれていることで、キリスト教(カトリック)の支配が圧倒的だった時代からの伝統として真正面からの肖像画はイエス・キリストのそれ以外は許されなかったというから、その意味でも何かを感じずにはいられないのかもしれない。