Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

本日の絵くらべ

以下の2作品、どちらも同じ画家によって描かれた作品と言われても、納得してしまいそうだが……果たして……
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(左)ハブリエル・メツー(メチュ)(Gabriel Metsu, 1629-1667)作「手紙を読む女」(Woman Reading a Letter)
1666/67年 油彩 板 52.5×40.2 cm/アイルランド国立美術館(ダブリン)所蔵
(右)ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer,1632-1675)作「恋文」(The Love Letter)
1669-71年 油彩 カンヴァス 44×38.5 cm/アムステルダム国立美術館(アムステルダム)所蔵

メツーはフェルメールの異名で実は同一人物……というのは真っ赤なウソ。しかし、前回の「肖像」ほどではないにせよ、そんなウソをついてみたくなるほど瓜二つの作品と言えなくもない。それぞれの制作年については資料によって多少のばらつきがあるものの、左のメツーの作品が右のフェルメールの作品よりも先だったことだけは間違いない。つまりどちらかがどちらかを「真似」て描いたとすれば、「真似」たのはフェルメールのほうであって、その逆は考えられない。実際に、フェルメールはメツーのこの作品以外にも構図などの点で、やはり同時代のピーテル・デ・ホーホ(1629-1684)の『男と女と鸚鵡』(Couple with Parrot)などを(鸚鵡だけに?)「真似」たことが指摘されている。まあ、「真似」たかどうかはともかく、少なくとも『恋文』に関しては、フェルメールの作品の独創性はほとんどゼロに等しく、今日では、さしづめ「盗作」のレベルと言えるかもしれない。
興味深いのは、17世紀オランダ絵画のいわゆる風俗画のジャンルの中では、19世紀まではメツーのほうがフェルメールよりもはるかに有名であり、フェルメールの作品がメツーの作品として市場で取引されることもあったほどだということ(関連記事)。いまでこそ、フェルメールの独り勝ちの感が否めないが、これも謎といえば謎である。
by ka2ka55 | 2012-04-26 22:33 | 美術 | Comments(0)