RE:ごしきひわ(1)
http://www.birdforum.net/gallery/data/527/goldfinch_six_-_024.jpg
この鳥も残念ながら日本国内の自然界では観察できないが(日本で観察できる最も近い種はカワラヒワかもしれない)、ヨーロッパではほぼ全土で留鳥として分布しているごくありふれた鳥のようである。したがって、ファブリティウスが描いた「ごしきひわ」もけっして珍鳥として描かれたわけではないはず。しかし、この作品に関しては、「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」であるとか、32歳の若さで不慮の死を遂げた年に描かれたとか、作品自体、興味深いのはたしかだが、ちょっと西洋美術に詳しい人であれば、「ごしきひわ」と聞けば、すぐに「聖母子画(像)」を連想するのではなかろうか。聖母子は多くの作者によって無数に描かれているので、けっしてそのすべてというわけではないが、西洋ではキリストの受難の象徴とされている(アザミを好む鳥であるため)ゴシキヒワを描き込んだ聖母子画が相当にあることをあらためて確認した(参考サイト)。以下、代表的な2作品。
1490-91年 テンペラ・画布(パネルより移し替え)42×33 cm/エルミタージュ美術館(露サンクト・ペテルブルク)所蔵
(右)ラファエロ・サンティ作「ひわの聖母」(Madonna del Cardellino)
1507年 油彩・板 107×77 cm/ウフィツィ美術館(伊フィレンツェ)所蔵