Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

オランダ人@初台

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わざとらしい生け花にはほとんど興味がなく、いつも素通りしているが、今回はオブジェとして「舵」が目に留まったので、ついシャッターを切った。毎回、演目をイメージして飾りつけられているのかどうか不明だが……やはり些かわざとらしい。

さまよえるオランダ人》(Der fliegende Holländer)の実演を観るのは、たしか今回で2度目。ほぼ3年前の09年3月19日にベルリン・ドイツ・オペラ(Deutsche Oper Berlin)で観たのが初めてだったが、このときのブログの記事のタイトル(ブーイングの嵐)からもわかるように、演出が意味不明の読み替えで最悪。けっして読み替え演出を否定するつもりはないが、やはりケースバイケースでダメなものはダメなのだ。つまり読み替えであるかどうかに関係なく演出家の「独りよがりのわざとらしい演出」はダメである。
今回の《さまよえるオランダ人》は「2007年2月25日新国立劇場プレミエ」公演の再演だが、観るのはもちろん初めて。同じ演出家(マティアス・フォン・シュテークマン)と衣装(ひびのこづえ)で08年に《魔弾の射手》を観たときは、とくに衣装のせいであまり良い印象はなく、今回もその点が気がかりだったが、意外とマトモだった。いや、あまりにもマトモすぎて逆に面白味に欠けていたほど。しかし、3年前のベルリンの公演と比べたらはるかにマシで、これなら再演の価値は十分にあるだろう(あの《魔弾の射手》の再演はどうか止めてもらいたい)。
歌唱を含む演奏に関しては、全体として(歌手の体型とも関係があるのかどうか)もたもたしているというか、鈍重というか、そんな印象があったが、第2幕の後半、オランダ人(エフゲニー・ニキティン)とゼンタ(ジェニファー・ウィルソン)の邂逅のシーン("Wie aus der Ferne")は聴き応え十分ですばらしかった。合唱(とくに男声)は一貫して迫力があり、主役ではないものの、舵手(望月哲也)とエリック(ドミスラフ・ムツェク)の両テノールが健闘していた。

ちなみにプログラム(p.27)によると、今回の演出家は来年(2013年)のバイロイト祝祭でワーグナーの初期3作品のうちティーレマンが指揮する《リエンツィ》の演出を担当するとのこと。
by ka2ka55 | 2012-03-09 07:29 | 音楽