「時差ぼけ」でも「後遺症」でもなく、単に風邪をひいただけだったようだ。日曜(12日)に帰国後はじめて人ごみの中をふらつき、体のだるさを感じたため体温を計ってみると37度線を越えていた。昨今の猛暑と大差ないとはいえ、それとこれとは別。平熱が36度前後であるため、やはり異常事態といえるが…寒いヨーロッパではなく猛暑の日本で風邪をひくのもマヌケである。徐々に快方に向かいつつあるが、熱は下がったものの喉の痛みと鼻水が止まらない。
閑話休題
さて、「アルテ・ピナコテーク」のルーベンスにすっかり圧倒されてしまったので、その後に観た作品はどれも物足りなさ感を禁じえなかったが、前日(8/31(火))が休館だった「ノイエ・ピナコテーク」を1時間半ほどの駆け足とはいえ、訪館できたのはよかった。
3つのピナコテークすべてについて言えることは、館内が広々としていて、非常に明るいということだ。とくに明るさに関しては、フラッシュの使用は元々禁止されてはいるが、あえてその禁を犯すまでもなく、十分にキレイな写真がとれる(写真撮影は(個人的な使用に限り)いずれのピナコテークでも許可されている)。ここであえて日本の美術館と比較すると、写真撮影が許可されているのは、一部の常設展以外では、例外中の例外(ほぼ100%ありえない)。また、もし許可されていても、日本の美術館は一般的に館内が薄暗くて、キレイな写真がとれない。もちろん写真をとることが目的ではないので、そのための比較にはあまり意味はないかもしれないが…。
そこで「
ノイエ・ピナコテーク」(「ノイ(エ)」は「新」(英語のnew)の意味)の展示作品だが、ここには18世紀半ばから20世紀の作品約5千点が収蔵され「特にドイツ・ロマン派やナザレ派などのドイツ近代絵画、さらにモネ、セザンヌ、ルノワール、ゴーギャンなど印象派の作品が充実している」(
Wikiの記事)とある。元々「印象派」にはあまり興味がないこともあり、期待度は低く、それほど強烈に印象に残る作品はなかった。それでも「げぇ」って、いや「おぉ」と思うような有名な原画(例えば
コレ)がさりげなく展示されているなど、たしかに充実している。
しかし個人的に最も興味深く印象的だったのは、ガブリエル・フォン・マックス(正式には"Gabriel Cornelius von Max"(1840-1915))というプラハ生れの画家の3作品。出身地や名前からユダヤ系の可能性もあるが、作品から受ける印象とは異なり意外とマトモな人間だったようだ。それにしても変な絵である。ある意味、これらも「怖い絵」と言えるかもしれない。
『美術評論家としての猿たち』(Affen als Kunstrichter)1889年、油彩/キャンバス、84.5×107.5 cm
『解剖学者』(Der Anatom)1869年、油彩/キャンバス、136.5×189.5 cm
『恍惚の乙女アンナ・カタリナ・エメリック』(Die ekstatische Jungfrau Anna Katharina Emmerick)1885年、
油彩/キャンバス、 84.5×67.6 cm