Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

Carcinogenicity of alcoholic beverages ― アルコール飲料の発癌性

先月(8月)の一か月間(正確には1-29日)はいわゆる禁酒を実施した。29日までというのは、大会が30日(日)だったため、大会終了後の夕食時にビール(0.5リットル)で乾杯するまでの期間ということ。しかし、このときのビール、さぞかし美味かったことだろうと思われがちだが、不味かったとは言わないまでも、それほど美味いとも思わなかった。飲んだ本人が言うのだから間違いない。ビールの味ってこんなものだったのか。というのが正直な感想。これはいったいなぜなのか。
考えてみると、30日間もアルコール飲料を摂取しなかったのは、少なくとも過去30年間に初めてだったかもしれない。けっして大酒家ではないが、ほぼ毎日飲んでいたことは間違いない。依存症だったのだろうか。とは思わない。もし依存症だったら30日間も我慢できるはずはないだろう。
さらに考えてみると、ロードバイクに乗り始めた6-7年前までは喫煙者でもあった。止める直前まで1日20本以上吸っていて止めると決めた日にぴったり止めてしまった。いわゆる禁断症状があったかどうかは覚えていない。しかしその後、吸いたいと思ったこともない。
要するに、アルコールもタバコもそもそもそんなに美味いものではないのだ。美味くもないにもかかわらず、習慣性もしくは依存性によって摂取し続けているうちに愚かなる錯覚に陥ってしまっているのではなかろうか。アルコールにしてもタバコにしても(まだ十代で)好奇心から初めて摂取を試みたとき、けっして美味いとは思わなかったはず。

さらに最近、本タイトルの"Lancet"に発表された論文(原文)の存在を知り、アルコール飲料に対する認識が徐々に変りつつもある。少なくとも、「酒は百薬の長」などというのが嘘八百またはメーカーもしくは酒飲みの自己正当化であることは明らかだ。
また、同論文の中でも関係研究者として紹介されている国立K浜アルコール症センターのY山臨床研究部長の関連記事が実に興味深いので一部を引用させていただく。
アルデヒド脱水素酵素(ALDH )には複数の種類があるが、ALDH2 と呼ばれる酵素が最も重要なアセトアルデヒドの分解酵素である。4割の日本人はALDH2 の活性を欠損している。遺伝子の組み合わせが欠損・正常のヘテロ欠損者(35% )と、欠損・欠損のホモ欠損者(7% )では正常者(58% )と比べ、日本酒1合相当の飲酒実験で6倍、19 倍のアセトアルデヒド血中濃度を生じる (4) 。そのため 、ALDH2 欠損者は少量飲酒で顔が赤くなるフラッシング反応を起こし (5) 、少ない飲酒量で二日酔いにもなりやすいことも近年証明された (6) 。ホモ欠損者は下戸であるが、ヘテロ欠損者では大酒家になりにくいとはいえ、職場やサークルなどで鍛えられているうちに耐性が生じる。日本酒換算で3合以上毎日飲酒する大酒家男性の2割以上、アルコール依存症者男性の1割以上はALDH2 ヘテロ欠損者であり、高濃度の発癌性アセトアルデヒドに暴露される食道や下咽頭では発癌リスクは極めて高い。

by ka2ka55 | 2009-09-18 18:17 |