Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

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補足: 続続)ヘルマン・ヘッセに捧ぐ: 誤訳を見つけて御役に立てれば何より…

▼以下の記事の補足
③続続)ヘルマン・ヘッセに捧ぐ: 誤訳を見つけて御役に立てれば何より… 2016-05-21
②続)ヘルマン・ヘッセに捧ぐ: 誤訳を見つけて御役に立てれば何より… 2016-05-17
①ヘルマン・ヘッセに捧ぐ: 誤訳を見つけて御役に立てれば何より… 2016-05-12

▼②の記事の中で英訳を一例挙げたが、別の英訳本(The Prodigy)を入手したので、それを引用するとともに若干補足する。

今回入手した英訳本は、タイトルが"The Prodigy"(意味は『神童』?)と訳されているため、本当に"Unterm Rad"の翻訳なのかと思えなくもないが、"Beneath the Wheel"と2種類のタイトルで翻訳されていることは間違いない。そして問題の箇所に関して、前述(以下参照)の翻訳と比べて決定的な違いは、他でもなく"Bocksbart"が訳出されている点である。
▼訳文(英語)(Penguin Modern Classics版The Prodigy
Close by were various kinds of fungi – the red, shiny fly-agaric, the broad fleshy mushroom, the adventurous Bear’s Paw fungus, the knobbly coral-mushroom and the odd, colourless, sickly-looking Pine Bird’s Nest.
さて、"Bocksbart"は"Bear’s Paw fungus"と訳されており、これを直訳すれば「熊の前足茸」となるが、もちろん和名でこんな名前の茸は存在しない。しかし、③で述べたように、「wissen.de」を検索した結果、"Ziegenbart"の同義語(Synonym)として挙げられた、"Korallenpilz; Keulenpilz; Bärentatze; Bocksbart; Judenbart; Krausbart; Clavaria"のうち、"Bärentatze"が"Bear’s Paw"に対応する語であることは間違いなく、したがって、この英訳は、すくなくとも同箇所に関しては正確であることがわかる。ちなみに同英訳本の初版は1961年であり、もし15年前にこれを参考にしていれば、やはり難なく解決していたかもしれない。

▼以下、③からの引用
▼原文
Daneben die vielerlei Pilze: der rote, leuchtende Fliegenschwamm, der fette, breite Steinpilz, der abenteuerliche Bocksbart, der rote, vielästige Korallenpilz; und der sonderbar farblose, kränklich feiste Fichtenspargel.

▼訳文(日本語): 松永美穂(1958-)訳(光文社古典新訳文庫版『車輪の下で』、2007年12月20日初版第1刷発行)
その横にはたくさんの種類のキノコがあった。赤く光るベニテングダケ、肉厚で幅広なヤマドリタケ、奇怪なバラモンジン、赤くてたくさん枝分かれしているサンゴタケ、そして奇妙に色のない、病的に太ったシャクジョウソウ。

▼訳文(英語)(Kindle版Beneath the Wheel
Next to them all kinds of mushrooms: the shiny red fly-agaric, the fat and fleshy ordinary mushroom, the red tangled coral-mushroom, the curiously colorless and sickly-looking Pine Bird’s Nest.

by ka2ka55 | 2016-06-01 22:51 | 翻訳 | Comments(0)

続続)ヘルマン・ヘッセに捧ぐ: 誤訳を見つけて御役に立てれば何より…

前回のつづき

▼あらためて問題の原文と訳文(日本語と英語)
▼原文
Daneben die vielerlei Pilze: der rote, leuchtende Fliegenschwamm, der fette, breite Steinpilz, der abenteuerliche Bocksbart, der rote, vielästige Korallenpilz; und der sonderbar farblose, kränklich feiste Fichtenspargel.

▼訳文(日本語): 松永美穂(1958-)訳(光文社古典新訳文庫版『車輪の下で』、2007年12月20日初版第1刷発行)
その横にはたくさんの種類のキノコがあった。赤く光るベニテングダケ、肉厚で幅広なヤマドリタケ、奇怪なバラモンジン、赤くてたくさん枝分かれしているサンゴタケ、そして奇妙に色のない、病的に太ったシャクジョウソウ。

▼訳文(英語)(Kindle版Beneath the Wheel
Next to them all kinds of mushrooms: the shiny red fly-agaric, the fat and fleshy ordinary mushroom, the red tangled coral-mushroom, the curiously colorless and sickly-looking Pine Bird’s Nest.
今回、約15年ぶりに"Bocksbart"を調べていて痛感したのは、言わずもがなのネットの瞠目すべき進化である。翻訳に限らないとは思うが、何か調べようと思ったら、今やネットなしでは考えられないほど(玉石混淆とはいえ)情報量は凄まじいことになっている。

たとえば、15年前に「wissen.de」のようなサイトがあれば、本件は一瞬で解決したはずであり、同サイトで"Bocksbart"を検索した結果を以下に示す。
d0103632_742192.jpg
これを見れば一目瞭然なのだが、"Bocksbart"にはキク科植物(Korbblütler)としてのBocksbartと担子菌類すなわちキノコ(Ständerpilz)としてのBocksbartがあり、後者は"Ziegenbart"の同義語(Synonym)ということがわかる。
じつは、"Ziegenbart"は小学館の「独和大辞典」にもあり、「(1)(a)ヤギのヒゲ(b)(人間のあごの下に生やす)やぎひげ(2)(植)ホウキタケ(箒茸)属」と記載されている。ちなみに同大辞典の初版は1999年だが、私が現在所有している最も古い独和辞典である1961年初版発行の「独和言林」(白水社、佐藤通次著)にも「1)やぎの髭;<比>やぎ髯(あご下の髯)2)<植>はなびらたけ」と記載されている。どうやら「はなびらたけ」よりも「ホウキタケ」のほうが正しいようだが、いずれにしても、ヘッセがもし問題のキノコの名前を"Bocksbart"ではなく"Ziegenbart"と書いていてくれたら誤解(誤訳)は生じなかったかもしれない。

要するに、ヘッセがキノコの一種として挙げた"Bocksbart"は"orangegelber, korallenartig verzweigter Keulenpilz"すなわち「橙黄色の珊瑚状に枝分かれしたホウキタケ」ということになるが、いささか厄介なのは「ホウキタケ」には一般的に少なくとも4種類あること。すなわちホウキタケ(Ramaria botrytis)、ハナホウキタケ(Ramaria formosa)、キホウキタケ(Ramaria flava)、コガネホウキタケ(Ramaria aurea)。()内の学名が示すように、それぞれ色や形などが異なり厳密に分類・区別されていることがわかる。とくに「キホウキタケ」と「コガネホウキタケ」は混同されやすいとされているが、独名では前者を"Gelber Ziegenbart"、後者を"Goldgelber Ziegenbart"または"Goldgelbe Koralle"と呼ばれているようである。参考までに、以下に「キホウキタケ」(左)と「コガネホウキタケ」(右)の写真を掲載するが、たしかに見ようによっては「ヤギのヒゲ」を連想させる形状であり、 "abenteuerlich(奇怪な)"と形容されても不思議ではない。
d0103632_3572587.jpg
しかし、ここでさらに厄介なのは、ヘッセが4つ目に挙げたキノコの"Korallenpilz"もやはり「ホウキタケ」と呼ばれるということ。じっさいに、wissen.deによると、"Ziegenbart"の同義語として、"Korallenpilz; Keulenpilz; Bärentatze; Bocksbart; Judenbart; Krausbart; Clavaria"が挙げられている。すなわち分類学的には、ホウキタケ属(Ramaria)は約200種のcoral fungi(ホウキタケ類)から成るとされている。

一方、「独和言林」(1961年初版)を見ると、「Korallenpilz=Ziegenbart」とあるが、「独和大辞典」(1999年初版)の"Korallenpilz”には「(植)サンゴハリタケ(珊瑚針茸)(食用キノコ)」と記載されている。これはいったいどういうことなのか。”Koralle”はたしかに「珊瑚」を意味するが、和名で「サンゴタケ(珊瑚茸)」に分類されるキノコは存在しない。「サンゴハリタケ」の学名は「Hericium coralloides」であり、これはサンゴハリタケ科に属するまったく別のキノコ(独名はStachelbärte)である。したがって、断定はできないものの、「独和大辞典」の記述は誤りの可能性がある。と同時に、上の松永訳の「サンゴタケ」は明らかに誤りであって、翻訳者が好き勝手に命名してよいはずがない。いや、これは翻訳者だけの責任とは言えないかもしれない。
 翻訳に際しては、企画の段階から訳稿のチェックに至るまで、T.K.さんには大変お世話になった。また、光文社のM.K.さん、T.N.さん、T.S.さんにはアドヴァイスや励ましをいただいたほか、綿密なチェックもしていただき、いろいろと助けていただいた。これらの方々、また直接お会いすることのなかった校閲の方々にも、心から感謝したい。また、これまでに本作を訳された方々のお仕事も参考にさせていただきました。ありがとうございました。 p.307
氏名はあえてイニシャルにしたが、「訳者あとがき」(pp.304-308)でこのように書かれているのを素直に読めば、いったいどんな「綿密なチェック」をしていたのかと思わざるをえない。

長々とごちゃごちゃ書きましたが、結論として、ヘルマン・ヘッセが「車輪の下(Unterm Rad)」第二章の冒頭の「自然描写」の中で挙げた"Bocksbart"は"Ziegenbart"を意味し、「キホウキタケ」または「コガネホウキタケ」と呼ばれるキノコの一種であり、キク科植物の「バラモンジン(ばらもんじん)」では決してないということだけは、あらためて指摘しておきたい。また、今後、既刊の邦訳が改訂され、もしくは新訳が刊行される際には、訂正されることを強く望みます。 (了)

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by ka2ka55 | 2016-05-21 11:28 | ドイツ語/外国語 | Comments(0)

続)ヘルマン・ヘッセに捧ぐ: 誤訳を見つけて御役に立てれば何より…

前回のつづき

▼そもそも"Bocksbart"とは?…
たとえば、DUDENのオンライン版「独独辞典」で"Bocksbart"を引いてみると、写真とともに以下のように説明されている。
d0103632_1256530.jpg
つまり、"Bocksbart"には大きく分けて2つの異なる意味があることが写真からも明らか。すなわち「(1) 雄ヤギ(Ziegenbock)のヒゲ(Bart)と(2)(キク科植物に属する)細い薄緑色の葉を有し、大きな黄色い放射状の花をつける植物」。これは一般の大きめの独和辞書にも載っている(頻度は低いが)けっして珍しい単語ではない。たとえば小学館の独和大辞典には「(1)ヤギのひげ/(2)(植)バラモンジン(婆羅門参)(根は西洋ごぼうと呼んで食用になる)」とある。しかし、なぜ同じ単語(Bocksbart)にこのような異なる意味があるのか。あくまでも私的な解釈にすぎないが、「ヤギのひげ」が文字通りの原義であり、植物にしても何にしてもこれに形状が似たもの、あるいは見た目でこれを連想させるものに対してこの名称が与えられた可能性があるのではないか。その証拠に、たとえば、比較的古いドイツ語も網羅されているグリム・ドイツ語辞典(Deutsches Wörterbuch von Jacob Grimm und Wilhelm Grimm)のオンライン版で"Bocksbart"を引いてみると、"BOCKSBART, m. tragopogon, benennung mehrerer pflanzen. "とある。すなわち「バラモンジン属(tragopogon)、種々の植物の名称」ということで、バラモンジン以外にも"Bocksbart"と呼ばれる植物の存在が示唆されているわけである。

しかし、いずれにしても、"Bocksbart"が植物として挙げられていれば、ふつうは疑うことなく「バラモンジン」と訳されても無理はない。そこで、これまでに17種類あるとされる邦訳(下記参照)のすべてについて調べられればよいが、そうもいかず、辛うじて手元にかき集められた10氏(青字)の訳について調べた結果を以下に示す。
秋山六郎兵衛『ヘルマン・ヘッセ全集』三笠書房、1940年(角川文庫)※『車輪の下に』
高橋健二 新潮社、1950 (新潮文庫)
秋山英夫 三笠書房、1954 講談社文庫、(偕成社文庫)
実吉捷郎(岩波文庫、1958)
石中象治訳 世界名作全集 平凡社、1958 
辻瑆訳. 世界名作全集 筑摩書房、1961 
榛葉英治訳 少女世界名作全集 偕成社、1962 
西義之訳. 白水社、1963 
岩淵達治(旺文社文庫、1966)
登張正実訳 筑摩世界文学大系、1972 
講談社世界文学全集(1974)では「車輪の下で」
山本藤枝訳 世界少女名作全集 岩崎書店、1973 
井上正蔵 世界文学全集 集英社、1973 (集英社文庫)
植田敏郎訳 ジュニア版世界の文学 集英社、1974 
片岡啓治訳 春陽堂書店 1978.2.
日本ヘルマン・ヘッセ友の会・研究会 編(伊藤貴雄)訳. ヘルマン・ヘッセ全集 臨川書店、2005
松永美穂(光文社古典新訳文庫 2007)※『車輪の下で』

Wikipediaより
▼原文
Daneben die vielerlei Pilze: der rote, leuchtende Fliegenschwamm, der fette, breite Steinpilz, der abenteuerliche Bocksbart, der rote, vielästige Korallenpilz; und der sonderbar farblose, kränklich feiste Fichtenspargel.

秋山六郎兵衛(1900-1971)訳
その近くにはさまざまな茸が生えていた。赤く光っているハエトリタケ、太く、幅の広いアワタケ、奇怪なバラモンジン、赤く枝がいくつにも分かれているホウキタケ、一風変って無色の、病的に肥ったマツバウド。

高橋健二(1902-1998)訳
そのそばにさまざまの種類のキノコがはえていた。つやのある赤いハエトリタケ、肉の厚い幅広いアワタケ、異様なバラモンジン、赤い枝の多いハハキタケ、など。それから一風かわって色のない、病的にふとっているシャクジョウソウ。

秋山英夫(1911-1991)訳
そのそばにはいろいろなきのこがはえていた。赤くひかっているはえとりたけ、肉の厚いはばのひろいあわだけ、奇怪なばらもんじん、枝がいくつにもわかれている紅色のははきたけ、それから奇妙に色のない病的にふとったしゃくじょうそうなど。

実吉捷郎(1895-1962)訳
そのわきには、いろんな種類のきのこ類が生えていた。赤い、かがやくばかりの紅天狗茸、厚い、はばのひろいあわたけ、怪奇なばらもんじん、赤い、枝の多いほうきだけ。そして妙ににおいのない、病的に肥大したしゃくじょうそう。

辻瑆(1923-)訳
その隣には、各種各様の茸がはえていた。赤い、輝くばかりのあしたかべに、厚ぼったくて幅のひろいやまどりだけ、奇怪なすがたのばらもんじん、赤くて枝のたくさんあるほうきたけ、それに、病的に太って妙に色のないぎんりょうそう、といったたぐいである。

岩淵達治(1927-2013)訳
そのそばに、いろいろな茸が生えている。赤く光ったアカハエトリタケや厚みも幅もあるヤマドリタケ、不可思議な形をしたバラモンジン、赤くてたくさん腕のでているホウキタケ、それに奇妙に色があせて病的にむくんだシャクジョウソウなどだ。

登張正実(1916-2006)訳
それとならんでさまざまなきのこ。赤く光っているあしたかべに、あぶらぎって幅ひろいやまどりだけ、へんちきりんなばらもんじん、先がいくつにもわかれた赤いほうきだけ、それに、妙に色がなく病的に太ったぎんりょう草。

井上正蔵(1913-1989)訳
そのそばに、いろんな茸が生えている。赤く光っているあしたかべに、厚ぼったい大きなやまどりだけ、へんな形のばらもんじん、赤くて先がいくつにもわかれているほうきだけ、妙に色あせて病的に太っているしゃくじょうそうなど。

伊藤貴雄(1973-)訳
そのそばには、いろんなキノコが生えていた。赤く光っているベニテングタケ、ずんぐりむっくりしたヤマドリタケ、風変わりなバラモンジン、先がいくつにも分かれた赤いホウキタケ、そして妙に色がなく病的にむくんだシャクジョウソウ。

松永美穂(1958-)訳
その横にはたくさんの種類のキノコがあった。赤く光るベニテングダケ、肉厚で幅広なヤマドリタケ、奇怪なバラモンジン、赤くてたくさん枝分かれしているサンゴタケ、そして奇妙に色のない、病的に太ったシャクジョウソウ。
以上のように、4種類のキノコ(Fliegenschwamm, Steinpilz, Bocksbart, Korallenpilz)が挙げられている(Fichtenspargelは別)が、Bocksbart以外のキノコの訳語にはそれぞれバラツキがあるにもかかわらず、Bocksbartの訳語は10氏がすべて(申し合わせたかのように)バラモンジン(ばらもんじん)で一致しているのが興味深い。というより、これに異論を唱えることは無謀もしくは無理であり、ふつうは誰もしないだろう。しかし、間違いは間違い。

まず、バラツキがあるとはいえ、「バラモンジン(ばらもんじん)」以外はすべてキノコの名称であることは間違いない。しかし、すでに指摘したように、漢字では「婆羅門参」と表記される植物は、けっしてキノコの一種ではない。「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」には以下のように記載されている。
バラモンジン(婆羅門参)
バラモンジン
Tragopogon porrifolius; salsify; oyster plant
キク科の多年草で,セイヨウゴボウともいう。地中海地方原産で,フランスなど南ヨーロッパで野菜として栽培されるほか各地で野生状態にもなっている。全体はゴボウに似て太い主根が地中に伸び,白色で軟らかく,乳液を出す。
https://kotobank.jp/word/バラモンジン(婆羅門参)-116766
引用はしないが、Wikipediaの「バラモンジン」にも詳しく解説されているように、キノコとは別物であることは明らかであり、異称として「バラモンジン」と呼ばれるキノコの存在も確認できない。一方、同項目のドイツ語版を見ると、"Haferwurzel"とあるが、"Tragopogon porrifolius"と学名が併記されているので、「婆羅門参」と同一であることは間違いなく、異称として"Purpur-Bocksbart"も挙げられている。つまり、"Bocksbart"が「バラモンジン」と訳せるのは、学名が"Tragopogon porrifolius"であるキク科バラモンジン属に属する植物に限定されるということである。したがって、いささかクドくなるが、ヘッセがキノコの一種として挙げた"Bocksbart"を「バラモンジン(ばらもんじん)」と訳すことはできず、上の10氏の訳はすべて誤訳と言わざるをえない。

ちなみに参考までに英訳を調べたところ、これも興味深いことがわかった。
▼英訳
Next to them all kinds of mushrooms: the shiny red fly-agaric, the fat and fleshy ordinary mushroom, the red tangled coral-mushroom, the curiously colorless and sickly-looking Pine Bird’s Nest.
参照した英訳は以上の1例のみ(Kindle版のBeneath the Wheel)だが、同訳文では原文の"der abenteuerliche Bocksbart"に対応する訳がすっぽり抜け落ちている。これは単なる訳抜けか、意図的な省略か、定かではないが、今回、この英訳を参照したのをきっかけに、15年前は解決までに難渋したことが、あっさり難なく解決してしまったのである。 (つづく)

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by ka2ka55 | 2016-05-17 18:02 | ドイツ語/外国語 | Comments(0)

ヘルマン・ヘッセに捧ぐ: 誤訳を見つけて御役に立てれば何より…

前回ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse, 1877-1962)の作品(Der Steppenwolf)に関連した記事を書いていて、以前途中まで書いて没にしていた記事があったのを思い出した。ヘッセの作品の中では、おそらく最も有名な小説『車輪の下(Unterm Rad)』に関するものだが、このまま没にしてしまうにはもったいない記事でもあるので加筆して復活させることにした。ただし、ご多分に漏れずマニアックな話題であり、ドイツ語や翻訳に興味のない方は読み飛ばしてしまって結構。

さて、本題。…もう15年ぐらい前になると思うが、同業の仲間と翻訳の非公開の勉強会をオンライン上で行っていたことがあり、そのさいにたまたま『車輪の下』の翻訳が話題になったことがある。話題になったのは、第二章の冒頭の一パラグラフ中の記述。少し長いが全文を以下に引用する。
Zweites Kapitel
So müssen Sommerferien sein! Über den Bergen ein enzianblauer Himmel, wochenlang ein strahlend heißer Tag am andern, nur zuweilen ein heftiges, kurzes Gewitter. Der Fluß, obwohl er seinen Weg durch so viel Sandsteinfelsen und Tannenschatten und enge Täler hat, war so erwärmt, daß man noch spät am Abend baden konnte. Rings um das Städtchen her war Heu- und Öhmdgeruch, die schmalen Bänder der paar Kornäcker wurden gelb und goldbraun, an den Bächen geilten mannshoch die weißblühenden, schierlingartigen Pflanzen, deren Blüten schirmförmig und stets von winzigen Käfern bedeckt sind und aus deren hohlen Stengeln man Flöten und Pfeifen schneiden kann. An den Waldrändern prunkten lange Reihen von wolligen, gelbblühenden, majestätischen Königskerzen, Weiderich und Weidenröschen wiegten sich auf ihren schlanken, zähen Stielen und bedeckten ganze Abhänge mit ihrem violetten Rot. Innen unter den Tannen stand ernst und schön und fremdartig der hohe, steile rote Fingerhut mit den silberwolligen breiten Wurzelblättern, dem starken Stengel und den hochaufgereihten, schönroten Kelchblüten. Daneben die vielerlei Pilze: der rote, leuchtende Fliegenschwamm, der fette, breite Steinpilz, der abenteuerliche Bocksbart, der rote, vielästige Korallenpilz; und der sonderbar farblose, kränklich feiste Fichtenspargel. Auf den vielen heidigen Rainen zwischen Wald und Wiese flammte brandgelb der zähe Ginster, dann kamen lange, lilarote Bänder von Erika, dann die Wiesen selber, zumeist schon vor dem zweiten Schnitte stehend, von Schaumkraut, Lichtnelken, Salbei, Skabiosen farbig überwuchert. Im Laubwald sangen die Buchfinken ohne Aufhören, im Tannenwald rannten fuchsrote Eichhörnchen durch die Wipfel, an Rainen, Mauern und trockenen Gräben atmeten und schimmerten grüne Eidechsen wohlig in der Wärme, und über die Wiesen hin läuteten endlos die hohen, schmetternden, nie ermüdenden Zikadenlieder.
同作品の「あらすじ」等は省くが、邦訳に関しては、ウィキペディアの「車輪の下」の記事によると、17種類出ており、「中でもヘッセ作品を最初に日本に紹介し、また自身もヘッセに面会したことのある高橋健二が訳したものが最も有名である」と記載されているので、その高橋健二訳(新潮文庫版、pp.39-40)を以下に引用させてもらう。
第二章
夏休みはこうなくてはならない。山々の上にはリンドウ色に青い空があった。幾週間もまぶしく暑い日が続いた。ただときおり激しい短い雷雨が来るだけだった。川はたくさんの砂岩やモミの木かげや狭い谷のあいだを流れていたが、水があたたかくなっていたので、夕方おそくなってもまだ水浴びができた。小さい町のまわりには、干草や二番刈りの草のにおいがただよっていた。細長い麦畑は黄色く金褐色になった。あちこちの小川のほとりには、白い花の咲くドクゼリのような草が、人の背ほども高く茂っていた。その花はかさのような格好で、小さい甲虫(かぶとむし)がたえずいっぱいたかっていた。その中空の茎を切ると、大小の笛ができた。森のはずれには、柔らかい毛のある、黄色い花の咲く、堂々としたビロウドマウズイカが長くきらびやかに並んでいた。ミソハギとアカバナ属が、すらりとした強い茎の上でゆれながら、谷の斜面を一面に紫紅色におおうていた。モミの木の下には、高くそそり立つ赤いジギタリスが厳粛に美しく異様にはえていた。その根生葉(ねおいば)には銀色の柔らかい毛があって幅が広く、茎が強く、萼上花(がくじょうか)は上のほうに並んでいて美しい紅色だった。そのそばにさまざまの種類のキノコがはえていた。つやのある赤いハエトリタケ、肉の厚い幅広いアワタケ、異様なバラモンジン、赤い枝の多いハハキタケ、など。それから一風かわって色のない、病的にふとっているシャクジョウソウ。森と草刈り場のあいだの雑草のはえた境のところには、強いエニシダが真っ黄色に輝いていた。それから細長い薄むらさきのミネズホウ。それからいよいよ草刈り場。そこはもう大部分二度めの草刈りを前にして、タネツケバナ、センノウ、サルビア、松虫草などがはなやかにおいしげっていた。闊葉樹(かつようじゅ)の林の中ではアトリがたえ間なく歌っており、モミの林ではキツネ色のリスがこずえのあいだを走っていた。道ばたや壁のそばや、かれた堀では、緑色のトカゲがあたたかさに気持ちよさそうに呼吸しながら、からだを光らしていた。草刈り場をこえてずっと向うまで、かん高い、うむことを知らぬセミの歌が響きわたった。
さて、この文章の何が話題もしくは問題になったのか。じつは、この「自然描写」について特に言及した雑誌の記事を私が見つけてきて勉強会で紹介したのが事の始まりだった。その雑誌というのは、もうすでに廃刊(休刊?)になっているが、三修社が1979年12月1日に第1号を発行した「ドイツ語研究」であり、紹介したのは、第3号(1980年10月1日発行)の巻頭(p.2)に掲載された同誌編集者の真鍋良一氏による以下の記事。
 Hermann HessのUnterm Rad「車輪の下」の第2章のはじめに,町はずれの田舎の夏景色の描写があります.そこはヘッセの得意とする,またしばしば賞賛される自然描写なのですが,たかだか1ページばかりの中に植物の名が20近く出て来ます.Öhmd「二番刈りの乾し草」などというめずらしい語から,
  Tanne「もみ」,Schierling「どくぜり」,Königskerze「びろうどもうずいか」,
  Weiderich「えぞみそはぎ」,Weidenröschen「やなぎらん」,Fingerhut「じきたりす」,
  Fliegenschwann「べにてんぐだけ」,Steinpilz「やまどりだけ」,Bocksbart「ばらもんじん」,
  Korallenpilz「ほうきだけ」,Fichtenspargel「ぎんりょうそう」,
  Ginster「えにしだ」,Erika「えりか」,Schaumkraut「たねつけばな」,
  Leichtnelke「せんのう」,Skabiose「まつくいむし」など.
 ほんとうはこの花や茸の名をきいて,ああ,あれかと目に浮かべうる人,花の色,大きさ,形などをよく知っている人にしてはじめて,その描写がわかるわけのものです.訳すことは訳せますが,植物名も独和辞書の訳語にたよるより手がない人は訳せてもやはりわかっていない部類に入るのですね.「ばらもんじん」など私の手許の国語辞書にはありません.BrockhausでBocksbartを調べたら,黄色い野菊のような花の挿絵がありました.もっとも葉は菊とはちがいますが,これで何とか見当をつけて,原文を見ると,このBocksbartにabenteuerlichという形容詞がついているのですね.困りました.やっぱり私も訳せるが,わからない部類かと思って,いささかがっかり.こんなことはしばしばあります.だからこそ「わかる」努力が必要なのです.
すでに故人の真鍋良一氏は多くの著書や翻訳書がある高名なドイツ語学者であり、そのような先生の言葉だけに大概は納得してしまうのだろうが、すくなくとも私には納得がいかず、ドイツ語に詳しい同業者にいわば問題提起する形となった。私が納得いかなかったのは、真鍋氏も不可解に思ったはずの"Bocksbart"の訳語「ばらもんじん」についてである。

「『ばらもんじん』など私の手許の国語辞書にはありません.BrockhausでBocksbartを調べたら,黄色い野菊のような花の挿絵がありました」とあるが、じっさいに現在ネットで"Bocksbart"を画像検索してみても、たしかに「黄色い野菊のような花」しかヒットしない。しかし、原文(太字部分)を読めばわかるように、ヘッセは"Bocksbart"を「キノコ(Pilz)」の一種として挙げているので、「野菊のような花」では辻褄が合わないことになる。しかも「異様な(abenteuerlich)」と形容されるのもオカシイ。

ちなみに15年前といえば、すでにインターネットは普及していたものの、検索エンジンはGoogleがようやく本格的に利用できるようになり始めたばかりで、翻訳上の調べものなどはまだ紙の辞書や辞典類に頼るケースが多かったと思う。つまり、その点で真鍋氏が上の記事を書いた40年近く前とそれほど変わりはなかったわけだが、そのせいか私の問題提起もしくは疑問はすぐには解決せず、あるいは(不遜にも)ヘッセが何か勘違いして誤った植物名を挙げてしまったのではないかという話にもなりかけていた。ところが、しばらくして、根気強く調べていた人がいて、ある植物図鑑によると、ドイツの地方によっては、いわば方言として"Bocksbart"と呼ばれる「キノコの一種」が存在することが突き止められたのである。 (つづく)

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by ka2ka55 | 2016-05-12 01:50 | ドイツ語/外国語 | Comments(0)

「今年(2015年)の言葉」に決まったのは"Flüchtlinge"だけど…

昨日(2015年12月11日)ドイツ語圏の各メディアは、ドイツ語協会(Gesellschaft für deutsche Sprache)(GfdS)が「今年の言葉(Wort des Jahres)」として"Flüchtlinge"を選んだことを伝えたが、Wikipediaの"Flüchtling"の項目にはすでに以下のような記事が掲載されている。
Wort des Jahres

Die Gesellschaft für Deutsche Sprache entschied, dass „Flüchtlinge“ das Wort des Jahres 2015 sei.[11] Es handele sich nur um das das Jahr 2015 beherrschende politische Thema, das Wort sei auch sprachlich von Interesse, so die Begründung.[12]

„Gebildet aus dem Verb flüchten und dem Ableitungssuffix -ling (›Person, die durch eine Eigenschaft oder ein Merkmal charakterisiert ist‹), klingt Flüchtling für sprachsensible Ohren tendenziell abschätzig: Analoge Bildungen wie Eindringling, Emporkömmling oder Schreiberling sind negativ konnotiert, andere wie Prüfling, Lehrling, Findling, Sträfling oder Schützling haben eine deutlich passive Komponente. Neuerdings ist daher öfters alternativ von Geflüchteten die Rede. Ob sich dieser Ausdruck im allgemeinen Sprachgebrauch durchsetzen wird, bleibt abzuwarten.[13]“

by ka2ka55 | 2015-12-12 09:11 | ドイツ語/外国語 | Comments(0)

最近の医師新聞(Ärzte Zeitung)から(20) 11/17~12/14

(188)「欧州食品安全機関(EFSA)が、一般人にもヘビースモーカーにも健康に対する望ましくない影響の懸念がない補強食品またはサプリメントによるベータカロチンの一日摂取量の基準値を15mgまでとすることを発表」 Beta-Carotin:Bis zu 15 mg täglich ist o. k. URL (12/14付)

(187)「低温は特に病気の心臓に対する危険な追加負荷であり、狭心発作または心発作の引き金になりかねないとドイツ心臓財団が警告している/したがって、冠動脈性心疾患患者は極寒時に高い身体的負担がかかる雪かきなどはやめるべき」 Herzkrank:Schneeschippen kann riskant sein URL (12/14付)

(186)「ジャワ島における鳥の大量死の発見を受けてインドネシアで鳥インフルエンザ(H5N1)への注意喚起/WHOによると、2003年以来、全世界の鳥インフルエンザによる死者は359人、その内インドネシアでの死者は159人」 Tote Vögel:Indonesien warnt vor Vogelgrippe URL(12/13付)

(185)「1995~2007年に癌に罹患した約29万6,000例のデータを分析した結果、コレステロール合成を阻害するスタチンを規則的に服用していた約19万例について、死亡率が15%低下することをデンマークの研究者が報告」 Dänische Studie:Krebskranke leben länger mit Statinen URL (12/12付)

(184)「ドイツ連邦議会は12日(水)、ドイツ国内でのユダヤ系およびイスラム系の男児に対する割礼を許可する法案を決議した/これで医術の規則に従って行われることを条件に、今後も従来通り宗教上の慣習としての割礼が合法化される」 Gesetz beschlossen:Beschneidung bald erlaubt URL (12/12付)

(183)「胎児性アルコール症候群(FAS):ドイツでは母親の妊娠中の飲酒により毎年最大4,000人の赤ちゃんが障害を伴って生まれてくるが、遅れがちの診断を迅速化する指針が開発された/FASは妊娠中の断酒で完全に阻止される」 Fetales Alkoholsyndrom:Leitlinien zur Diagnose vorgestellt URL (12/10付)

(182)「インフルエンザや肺炎球菌疾患に対する予防接種率が高い場合、抗生物質の使用量が減少することをブリティッシュコロンビア大(カナダ)の研究者らが報告Vaccine 2012; 46: 6509)」 Studie:Impfen senkt Verbrauch von Antibiotika URL (12/7付)

(181)「ベルリンのロベルト・コッホ研究所(RKI)の報告 http://t.co/FcYjc3mf によると、昨年度ドイツ国内で報告された梅毒(Syphilis)の数は約3,700例で過去10年間で最も高い値に達した 」 RKI meldet:Rekordzahlen bei Syphilis URL(12/4付)

(180)「健康増進をもたらす忠実な連れ合いとしての犬猫:ドイツ(人口約8,200万人)の家庭では約2,200万匹の小動物が飼われているが、ペットフード会社の研究によると、これらペットの社会的役割は十分に評価されていない」 Gesundheitsfördernd:Hunde und Katzen als treue Begleiter URL (11/29付)

(179)「世界エイズデー:欧州以外では新たなHIV感染者数は減少しつつあるが、欧州内とくに東欧と中欧では増加傾向にあり、ロベルト・コッホ研究所の推計では、ドイツの今年末までの新たな感染者は3,400人(昨年3,300人)」 Welt-Aids-Tag:Krapfen von Minister Bahr URL (12/1付)

(178)「毎年約2億2千万人がマラリアに感染し、有効な治療には迅速な診断が重要であるが、迅速試験の開発をめざして、独フライブルク大の研究所がコーディネートし、EUが300万ユーロ助成するプロジェクトが立ち上げられた」 Tropen-Medizin:Bald schneller Nachweis von Malaria URL (11/29付)

(177)「肥満手術後の2型糖尿病の寛解は長続きしない場合が多いことが米シアトルの研究でわかった/肥満手術後に糖尿病が完全寛解した患者2,254例のフォローアップの結果、優に35%が5年以内に再び糖尿病の症状を呈していた」 Adipositas:Op allein heilt Typ-2-Diabetes nicht URL (11/30付)

(176)「カリウムは2型糖尿病の早期マーカー?/高血圧患者において、2型糖尿病の罹患者または予備軍の場合、血中カリウム濃度が低くなることを独ミュンヘンの研究者らが突き止めた http://t.co/mswvXnOG」 Typ-2-Diabetes:Kalium ist ein Frühmarker URL (11/29付)

(175)「当初10月にカタールの病院を受診した後、重篤な呼吸器症状によりドイツ国内で治療を受けた患者(男性)で2002年のSars原因ウイルスに似た新種のコロナウイルスが検出されたとロベルト・コッホ研究所(RKI)が報告」 Neues Virus:Erster Corona-Fall in Deutschland URL (11/26付)

(174)「気管支喘息の重症形態では肺分泌物の希釈に寄与する特定の輸送タンパク質を欠くために、粘液が溶解せずに呼吸を致命的に妨げるという関係を独ハイデルベルク大学病院とハノーファー大医学部の研究者らが動物モデルで突き止めた」 Asthma:Neuer Therapieansatz entdeckt URL (11/20付)
by ka2ka55 | 2012-12-17 11:05 | Comments(0)

最近の医師新聞(Ärzte Zeitung)から(19) 11/10~11/16

(173)「世界未熟児デー(11月17日)に際して新生児ケアのための欧州財団(EFCNI)が未熟児治療の追加の基準を呼びかけている/欧州では毎年50万人の未熟児が生まれ、その割合はラトヴィアの5.3%~キプロスの14.7%」 Weltfrühgeborenentag:Ein Tag für die ganz Kleinen URL (11/16付)

(172)「妊婦の飲酒は児童虐待?:妊娠中の母親の飲酒のために、ドイツでは毎年約4,000人の子どもがアルコール障害を持って生まれているとベルリン医科大学(Charité)のHans-Ludwig Spohr教授が指摘」 Schwangere:Jeder Schluck Alkohol ist Kindesmisshandlung URL (11/16付)

(171)「多発性硬化症にとって重要な発見:独マインツ大医学部の研究者らがミエリン形成(髄鞘化)を調節する分子(sncRNA715)を同定した(cf:EMBOreports 2012; 13: 827-834 ) 」 Multiple Sklerose:Regulator der Myelinbildung entdeckt URL (11/16付)

(170)「独キール大(CAU)の協力による大規模研究により慢性炎症性腸疾患(IBD)の遺伝子的原因の解明に新たな手掛り(cf:Nature 2012; 491: 119-124 )」 CED:Ausgelöst durch überaktives Immunsystem? URL (11/15付)

(169)「独デュースブルク・エッセン大の研究者らが、膝関節症患者に対する治療オプションとしてのヒル(蛭)療法の有効性を示す研究結果を発表/同療法は静脈鬱血を除去し、ヒルの唾液には炎症を抑える物質が含まれているという」 Blutegel:Option für Patienten mit Arthrose URL (11/15付)

(168)「医学専門誌NEJMオンライン版に14日掲載された研究論文によると、アルツハイマー病のリスクを明らかに高める稀な遺伝子変異(TREM2)が発見されたという。 cf: http://t.co/23znMV5z 」 TREM2:Alzheimer-Gen entdeckt URL (11/15付)
by ka2ka55 | 2012-11-19 05:38 | ニュース | Comments(0)

最近の医師新聞(Ärzte Zeitung)から(18) 11/3~11/9

(167)「休日の楽園モーリシャス島でインフルエンザが大流行し、10月だけでも約1万6,000例の届出があった/南半球ではインフルエンザのシーズンは通常10月で終わるが、年間を通して蔓延している熱帯地域への旅行には要注意」 Mauritius:Grippewelle im Urlaubsparadies URL (11/8付)

(166)「女性乳癌患者における『ほてり』や睡眠障害などの閉経後症状は、鍼(はり)治療によって大幅に緩和されることがデンマークで行われた無作為化二重盲検試験で明らかにされている http://t.co/OjLpHjrP」 Brustkrebs-Patientinnen:Akupunktur bessert Schlafstörung URL (11/7付)

(165)「高齢者の記憶障害は、薬剤によって引き起される場合が多いことをモントリール老年医学大学研究所の研究者が力説している Drugs & Aging 2012; 29: 639 http://t.co/TWz8Ss2a」 Senioren:Arzneien stören Gedächtnis URL (11/8付)

(164)「大豆を多く含む食事が閉経後女性の認知能力に対する効果としては、視覚的記憶のわずかな改善以外には総じて特記すべきものはないことが米スタンフォード大の研究(閉経後女性313人、2.5年以上、イソフラボンを豊富に含む大豆製品を毎日25g)で証明された」 Sojadiäten:Als "Hirndoping" wirkungslos URL (11/7付)

(163)「過体重の女性は正常体重の女性と比べて更年期障害としての『ほてり』が強くなるが、血管運動症状に対しては減量が明らかに好ましい影響をもたらすことが米国の研究(尿失禁のある過体重または肥満の女性338例)で示された」 Frauen in den Wechseljahren:Bei Hitzewallungen abnehmen! URL (11/7付)

(162)「ドイツ国内未承認薬のDepocon®(MPA)による避妊薬注射を患者に大量に販売したとして、薬事法違反および処方薬の違法大量販売の疑いでドイツの婦人科医611人に対する取り調べが行われたことをFOCUS誌が伝えた」 Betrugsverdacht:Ermittlungen gegen 600 Frauenärzte URL (11/4付)

(161)「うつ病患者における脳内出血の増加と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)療法との関係が、カナダのロンドン市にあるウェスタンオンタリオ大学の研究者が行ったメタ解析(患者50万人以上のデータ)で明らかにされた」 Hirnblutungen:Die Gefahr SSRI URL(11/4付)
by ka2ka55 | 2012-11-11 09:08 | ニュース | Comments(0)

最近の医師新聞(Ärzte Zeitung)から(17) 10/27~11/2

(160)「ロシアとアルゼンチンで市場や街のスタンドで食べた肉やソーセージが感染源とみられる旋毛虫症(Trichinosis)の感染を渡航医学センター(CRM)が警告している/シベリアでは19人が感染して1人が死亡している」 CRM warnt:Trichinellose in Russland und Argentinien URL (11/2付)

(159)「タンパク質に富む食品でダイエット?/ドイツ栄養研究所(DIfE)のクラウス教授を中心とするチームの研究により、多量のタンパク質は水分吸収を促進し、さらに食物摂取量を減少させることがマウスモデルで証明されたという」 Übergewicht:Mit eiweißreicher Ernährung abnehmen URL (11/2付)

(158)「ロベルト・コッホ研究所(RKI)の発表によると、2011年にドイツ国内への旅行者によって輸入された感染症で最も多かったのは、マラリアの562例とデング熱の288例で、いずれも前年比で減少(デング熱は半減)した」 RKI:Malaria steigt nicht weiter an URL (11/2付)

(157)「炎症性肺疾患患者は、喫煙とは無関係に健常者よりも肺癌リスクが高い/炎症性肺疾患と気管支癌との関係の真相究明のために行われた研究(17件)の解析によると、肺気腫患者は肺が健康な人と比べて肺癌リスクが2.5倍である」 Lungenentzündungen:Bronchitis und Co. verstärken Krebsgefahr URL (11/1付)

(156)「ドイツ心臓センターに移されて術後に死亡、すでに埋葬されていた乳児の死因は、剖検の結果、シャリテー病院内で感染したセラチア菌ではなく、きわめて複雑で危険性の高い手術後の自然死であったことをベルリンの検察庁が発表した」 Berliner Keime:Baby-Bad entlastet URL(11/1付)

(155)「米国の新しい研究データ(1999~2011年の健康保険データ)から慢性便秘と腸癌(結腸直腸新生物)との関係が示唆されている/便秘患者の情報を対照と比較すると便秘の診断前に結腸鏡検査所見での陽性は確認されなかった」 Krebs:Ist träger Darm ein Risiko? URL (10/31付)

(154)「毎年10月29日は世界乾癬デー:皮膚病の乾癬は他の器官に対してもリスクであるという知見が皮膚科専門医の間でもあまり普及していない/乾癬患者は2倍の頻度で糖尿病に罹り、同患者の5人に1人は生存中に関節炎を発症する」 Welt-Psoriasistag:Schuppenflechte geht unter die Haut URL (10/29付)

(153)「女性の喫煙:120万人以上の女性(平均年齢55歳)を対象とした英国の研究によると、50~80歳の死亡率は喫煙者の場合には非喫煙者と比べて3倍高い/40歳前に禁煙することによって超過死亡率は90%低下させられる」 Frauen:Rauchen aufzugeben bringt Lebenszeit URL (10/28付)

(152)「重さ28kgの巨大な腫瘍を女性年金生活者(60歳)の腹部から独ドレスデン大学病院の医師チームが今月初めに取出した/60×50cmもの異常に大きな腫瘍は女性(糖尿病患者)が肥満のために発見されるまで数カ月を要した」 28 Kilo schwer:Riesen-Tumor aus Bauch einer Rentnerin entfernt URL (10/28付)
by ka2ka55 | 2012-11-04 23:56 | ニュース | Comments(0)

最近の医師新聞(Ärzte Zeitung)から(16) 10/20~10/26

(151)「化学療法にかかわらず癌細胞が生き残れるメカニズムを独ケルン大学病院の研究者らが突き止めた/細胞の遺伝物質の完全性を維持するp55タンパク質の「ゲノムの保護者」としての機能の質が腫瘍細胞によって影響されるという」 Widerstand gegen Chemo:Die Tricks der Krebszellen URL (10/26付)

(150)「顕著な胃食道逆流症(GERD)の症状を軽減するには禁煙が効果的であるとするHUNT研究(約7万5,000人の地域住民ベースの前向き研究)の結果が、アムステルダムで開催中の欧州の胃腸科専門医の会合で紹介された」 Effektive Maßnahme:Mit Rauchstopp gegen Reflux URL (10/25付)

(149)「エボラ熱の流行に終止符が打たれてから何週間も経っていないウガンダで今度は生命にかかわるマールブルク熱の蔓延が勢いを増している/10月初めのアウトブレイク後すでに6人が死亡したことを保健省が25日(木)に発表した」 Neue Epidemie:Uganda kämpft mit Marburg-Fieber URL (10/25付)

(148)「独マインツ大の研究グループは、難聴と視力障害を併発する遺伝子疾患であるアッシャー症候群について、変異遺伝子の修復または活性物質の代用による遺伝子異常の除去を試みることで、その背景と有望な治療法の手がかりを得た」 Gen-Reparatur:Lichtblicke beim Usher-Syndrom URL (10/23付)

(147)「年齢とともに精子細胞のDNAに欠陥が蓄積することで高齢男性の精子の質は悪化するが、ビタミンC、E、葉酸、微量栄養素(微量要素亜鉛)にはこれを食い止める作用があることが米バークレーの研究チームによって証明された」 Mikronährstoffe:Jungbrunnen für Spermien URL (10/23付)

(146)「歯周病が膵臓癌の高いリスクと関係していることを米独の研究者が突き止めた/歯周病に基づき血中に特定の細菌に対する抗体を有する患者は、その他の患者よりも膵臓癌に罹るリスクが高い可能性がある/欧州癌・栄養予測研究」 Parodontose:Erst Zahnprobleme, dann Pankreaskrebs URL (10/22付)

(145)「ドイツ美容外科学会(GÄCD)は、2007年に約10%にすぎなかった男性患者の割合が5年間で2倍以上(平均で5人に1人)になったことを発表/特に要求されるのは、瞼や鼻の矯正、レーザー治療のほか、入れ墨の除去など」 Schönheitschirurgie:Männer immer häufiger unterm Messer URL (10/21付)

(144)「ベルリン医科大学病院(Charité/Campus Virchow Klinikum)の新生児病棟で8児が細菌感染し1児死亡/2週間前(10/8)に早産児2名の血液培養でグラム陰性桿菌のセラチア菌(霊菌)を検出」 Keime an der Charité:Die Suche im Waschbecken URL (10/20付)
by ka2ka55 | 2012-10-28 17:53 | ニュース | Comments(0)