Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

Geschichten aus der Tonne ―

たるの中から生まれた話(I)

某サイトの書評で取り上げられていたシュトルム(Hans Theodor Woldsen
Storm, 1817-1888)の「童話」集。
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シュトルムといえば「インメンゼー」(原文)の印象があまりにも強いせいか、恥ずかしながら、この作家がこんな作品を書いているとは知らなかった(あるいは、忘れていただけかもしれない)。

それにしても知らないことはあまりにも多い…

上記書評では福武文庫版(写真)が紹介されているが、同じ翻訳者(矢川澄子)による学習研究社版もある。しかしいずれも現在、入手困難(絶版?)であり、特に後者は図書館でしかお目にかかれない代物。中に描かれている金子國義の挿絵がスゴイという噂があり、復刻を求める声もあり。

今回、「たるの中から生まれた話」に含まれる「童話」の邦訳が収められた本として、いずれも日本の古本屋から入手したのは、福武書店(現ベネッセ社)版(1990年初版)のほか、村松書館版(1995年初版、柴田斎訳(左))と矢代書店版(1948年初版、田川基三訳(右))。
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出版年順に並べると、(A)田川訳、(B)矢川訳、(C)柴田訳。
邦訳が一種類しかなければどうしようもないが、何種類もあるとつい比較してみたくなる。とくに今回は訳語についていくつかの疑問が生じたため買い漁った次第。
一方、原文は(原作者の死後70年以上経過しているため)ネット上で容易に入手可能。「たるの中から生まれた話」として収められているのは以下の3篇。
(1)Die Regentrude
(2)Bulemanns Haus
(3)Der Spiegel des Cyprianus

そこでまず、タイトル訳のみ比較してみる。
(A):(1)雨乞ひ;(2)怪猫物語;(3)魔法の鏡
(B):(1)雨姫;(2)ブーレマンの家;(3)のろわれた鏡
(C):(1)雨姫;(2)ブーレマンの家;(3)ツィプリアーヌスの鏡
以上、(A)の訳が異色であることは一目瞭然だが、これについて訳者は「あとがき」で《訳名は作品の内容をわかりやすく掴み得るために、原題にある固有名詞をことさらにさけて訳者が勝手につけたものである》(pp.249-250)と記している。

それはともかく、問題は(1)の"Regentrude"の意味。これは"Regen(雨)"と"Trude"の合成語であることは明らかだが、あいにく「雨乞ひ」の意味はない。また、"Trude"は「姫」を意味するかというと、少なくとも手元の辞書にはそのような意味は記されていない。
これに関して、(B)と(C)ではまったく言及されていないが、(A)では"Regentrude"が「雨女のトゥルーデ」と訳され、やはり「あとがき」で《(Trudeには妖女の意がある。即ち雨の精である)》(p.250)という注が付されている。

そこで、ためしにオンラインのグリム辞典で"Trude"を検索してみると、たしかにそれらしき意味があることがわかる。
TRUDE, t r u d , f., m., ein gespenstisches wesen, gewohnlich ein nacht-
gespenst von der art des alps; hexe (hexenmeister), zauberin, fee; wie
hexe auch als schelte verwendet; s. bereits drude teil 2, 1453f.
h e r k u n f t , f o r m u n d v e r b r e i t u n g .

つまり、Alp(夢魔)、Hexe(魔女)、Zauberin(魔法使い)、Fee(妖精)などに類する語であって、けっして「お姫さま」ではないのである。(つづく

# by ka2ka55 | 2006-12-14 16:47 | | Comments(0)

Veröffentlichung eines Videofilms ― 動画公開(1)

9月4日ウィーンの楽友協会(黄金の間)で行われたモーツァルト・コンサートの模様を撮影した動画を公開。
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# by ka2ka55 | 2006-12-13 03:48 | 動画 | Comments(0)