Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

愛の妙薬@多摩市民館ホール(地元)

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恋愛話がほとんどにもかかわらず、そのタイトルに「愛」を含むオペラは意外と少なく、というか、ドニゼッティの《愛の妙薬》以外は思い浮かばない。他にあるだろうか。逆にあまり珍しいので、ひょっとして、これは誤訳ではないかと疑ってしまうほど。しかし残念ながら(?)原語(イタリア語)では"L'elisir d'amore"であって、英語では"The Elixir of Love"、ドイツ語では"Der Liebestrank"となっているので、いずれも「愛」なしには成立しないようではある。

そのオペラ(より正確にはオペラブッファ)《愛の妙薬》が原語ではなく日本語で上演されるというので、こわいもの(?)見たさで近所の市民館ホールへ。

《愛の妙薬》を日本語うんぬんに関係なくナマで観るのは初めてだが、結果として、意外と楽しめた、といったところ。これまでDVDでは何度も観ているせいか、部分的に原語とのギャップはあるにしてもそれほど大きな違和感はなかった。あるいは、和製ミュージカル風、もしくはタカラヅカ風になりそうなところで辛うじて踏みとどまっていたとでも言うべきか。ちなみに訳詞担当は、ベルコーレ役でもあった宮本昌光(二期会会員)。オペラの日本語訳詞をライフワークにしているとのこと。
歌手としては、ネモリーノ役のテノール・渡邊公威(東京二期会会員)が印象的、というか好演。日本人歌手(特にテノール)には絶望しかけていたこともあり、思わぬ収穫といったところ。一方、アディーナ役のソプラノ・宮本彩音(藤原歌劇団準団員)は、声量は十分なのだが、声質が金属系というかヒステリック系というか、イマイチ。ラスト近くになると音程もおかしく、絶叫にしか聞こえず思わず耳をふさぎたくなった。まあ、例によって個人的な好みの問題にすぎないが、声量はともかく、もっと美しく繊細に歌ってほしいものだ。
たとえば、高橋薫子のアディーナを聴いてみたいとふと思ったら、たまたま配られていたチラシによると、6月に上野で「藤原歌劇団創立75周年記念公演」として上演される同演目で実際にアディーナ役で出演するらしい。これは楽しみ。

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by ka2ka55 | 2009-02-22 18:39 | 音楽