カルメン@上野
空席の目立つ中、のりがイマイチの序曲とへんちくりんなパントマイム、よく言えば「シンプル」、言い換えれば地味で殺伐とした「ショボイ」舞台セットで幕を開け、これまた地味なつなぎの作業服姿でカルメンが登場したときはどうなることかと暗い気分になった。
しかし、これらはすべて意図的な演出の一環だったようだ(と好意的に解釈)。いずれにしても、徐々に盛り上がっていったことは確か。
ミカエラ(ノエミ・ナーデルマン)への拍手も大きかったが、やはりカルメン(ユリア・ゲルセア)が圧倒的によかった。歌唱はもちろん、具体的には書けないが、つなぎの作業服姿からも窺い知ることができるその迫力には…
それに対してホセとエスカミーリョはイマイチだったが、まあ、どっちの役も個人的にはどうでもいい役なのでノンプロブレム。
カーテンコールでは珍しくオーケストラも全員舞台に上がったが、むしろこれが当然なのではないかと思えるほど好ましかった。
それにしても本公演、9日から26日までの18日間に全国で15公演が予定されている。カルメンとホセはトリプルキャストとはいえ、ちょっと気の毒になるほどのハードスケジュール。(5階右サイドC席(12K)にて)