Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

トリイゾを聴きながら

そういえば、昨日は三崎からの帰路(75km)、FM放送の《トリスタンとイゾルデ》を片耳で聴きながら帰ってきた。放送があることは知らなかったが、ほぼ4時間の演奏がノーカットで放送されたので道中、退屈せずに済んだ。

しかし、「トリイゾ」といえば、先月21日のUDLの公演が忘れられない。キャスト(トリスタン=ペーター・ザイフェルト、イゾルデ=ワルトラウト・マイヤー、マルケ王=ルネ・パーペ、指揮=ダニエル・バレンボイム)の点では今回の9公演中、最強であることは間違いなく、それなりに期待はしていたが、おそらくどんなに期待していたとしても期待しすぎることはなかったに違いない、逆に言えば、もうこれ以上に期待できる公演はしばらく(永遠に?)体験できないに違いないと十分に思わせるほどの(少なくとも個人的には)空前絶後のとんでもない公演だった。

アタシは確認できなかったのだが、最後のカーテンコールに登場したマイヤーは涙ぐんでいたとか。実は当日、上演に先立ち、幕開け直前に舞台上にマイクを持った背広の男性が現れて場内は一瞬、凍りついた、というか、溜息まじりの(日本語で表現すれば)「えええーーー」という声が一斉にもれた。すでに3回、主役に降板されているアタシとしては「またかよ」と諦めかけたが、どうやら主役の一人であるマイヤーは風邪の病み上がりで状態は万全ではないが今日は歌いますとのこと。ここで一斉に拍手。しかし、なぜこんなアナウンスをわざわざするのか。よくあることかどうかわからないが、明らかにエクスキューズだろう、ひょっとしたら第二幕以降に降板してしまうのではなかろうか…という杞憂は文字どおり(?)の杞憂にすぎなかった。最後の神がかったかのような迫真の演技は圧倒的でホントに凄いものを観て聴いてしまった。日本の劇場では滅多に座らない(座れない)一階平土間の5列目での至福の体験だった。
by ka2ka55 | 2010-04-12 20:51 | 音楽 | Comments(0)