Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

V&W

4年後(2013年)を見越して(?)、このところ、ヴェルディとワーグナーの研究に余念がない(半分冗談)。
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ところで、両者(のみ)を同時に論じた書籍(少なくとも和書)は意外と少なく、辛うじて見つかったのは荒井秀直著『ヴェルディとワーグナー/音楽とドラマのかなたへ』(東京書籍)のみ。しかし借りようと思っても近所の複数の図書館の蔵書リストにはなく、しかたなく尼損経由で最安値(¥700)の中古品をゲット。新品(税込¥2,650)は現在どこも品切れ中のようだ。
「全体の印象は中ぐらいというところ。音楽は明晰で表情たっぷりなところは美しい。物語はゆっくりと展開する。テキストも同じ。したがって退屈である。オーケストラの効果はすばらしい。引き延ばされた音が多く、これが重い感じを与えている。演奏はまあまあである。たいへん力演ではあるが繊細さに欠け、詩情もない。難しい箇所にくるといつも下手だ」。p.220
これはヴェルディが1871年11月19日にワーグナーのとあるオペラをイタリアのボローニャで聴いていたときに書き残された非公式の「批評」。おそらく率直な感想だとは思うが、実に面白い。さて、これだけ読んでオペラのタイトルがわかる人はいるだろうか。


ヒント(というか答え)はこの動画

「ゲゼーグネット ゾル ズィー シュライテン」の歌詞が思わず出てしまいそうだが、それはともかく、興味深いのは、ヴェルディはワーグナーの《ローエングリン》をイタリアにおける初演(1871年11月1日)直後に観劇しているということ。それほどにワーグナーへの関心が強かったということかもしれない。
 イタリアでワーグナーのオペラが初めて上演されたのは一八七一年十一月一日、ボローニャでマリアーニの指揮による《ローエングリン》である。十九日、ヴェルディは《ローエングリン》のスコアを抱えてボローニャへ出かけ、ボックス席の後のほうで聴いていたが、彼が来ていることを人に悟られるや、彼は逃げるように劇場を飛び出してしまった。彼はスコアの余白に書き込みをしているが、これは彼が書き残したワーグナー劇に対する貴重な資料である。 pp.219-220
ところが、一方のワーグナーのヴェルディへの関心については、よくわからない。無関心なのか無関心を装っているだけなのか。じっさいにワーグナーは1875年11月2日にハンス・フォン・ビュローの指揮するヴェルディの《レクイエム》(初演は1874年)をウィーンで聴いているが、何のコメントもしていないという。同書にはワーグナーはヴェルディを「無視した」とあるが、果たしてどうなのか。いずれにしても、二人の出会いがなかったことだけは事実のようだ。
 ワーグナーもヴェルディもそれぞれの生れた土壌から出発し、それぞれ前人未踏の域に達した。同じ時代を呼吸した二人の出会いがなかったことはまことに不思議である。ヴェルディは早くからウィーンやロンドンやパリで知られていた。ワーグナーが彼のことを知らないはずがない。だが、ロッシーニを尊敬し、ベルリーニを見下し、ドニゼッティを軽蔑したワーグナーはヴェルディについては一言もふれていない。この不自然さも彼の性格からきていると見てよいだろう。   p.351

by ka2ka55 | 2009-11-05 00:03 | | Comments(0)