Das Notizbuch von ka2ka ― ka2kaの雑記帳

Va', pensiero@MET

 場面が変ってユーフラテス河畔。強制労働を課せられているヘブライ人たちは「わが思いよ、金色の翼に乗って行け」と望郷の念を歌う。悲しく、切実な捕虜の心が、このユニゾンの、あまりにも単純な自然なメロディに、まるで奇跡のように見事に表現されている。これは天啓によらなければ生れない種類の音楽だ。(中略)オペラの台本とその主題に目を光らせていたオーストリアの検閲当局は、ヴェルディの場合には音楽そのものに民衆の心を動揺させる要素があることを、この《ナブッコ》によって初めて知るのだ。現代でもイタリアでこの歌を知らない人はいない。ファシズム政府の戦争によって荒廃した祖国から沸き上がったのはこの歌だった。けっして感情を暴力的にぶつけるのではない静かな感動は、イタリア人の民族性にぴったり合っているような気がする。陽気なイタリア人は本当はナイーヴなのだ。イタリアでは今でもこれをアンコール演奏しなければ先に進めない。この曲を国歌に、という提案が繰り返しなされたというが、未だに実現していない。[音楽之友社=編 スタンダード・オペラ鑑賞ブック[2]イタリア・オペラ(下)p.14(小畑恒夫)より]
それにしても曲の美しさはもちろんのこと、なんと美しい映像なのだろう。舞台のセット、衣装、合唱団員の表情(演技)などを含めて、まるで一幅の絵画を見ているかのようだ。
いったい、いつどこの公演かと検索したところ、2001年4月にMET(ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場)でライヴ収録されたものらしい(指揮=ジェイムズ・レヴァイン/演出=イライジャ・モシンスキー)。さすがにMETと言うべきか。たかが動画なのにうっとり聞き入って見入ってしまった。
by ka2ka55 | 2009-10-11 13:11 | 動画 | Comments(0)